コケイン症候群の臨床的分類

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【コケイン症候群 I 型】

  • コケイン症候群の8割を占め、古典型とも呼ばれる。

  • 生下時の身長、体重、頭囲は正常である。新生児期、乳児期早期には発達遅滞を認めない。

  • 生後半年頃より小頭に気づかれることが多く、徐々に、座位、はいはい、つたい歩き等の粗大運動の遅れや、精神遅滞を認めるようになる。一人歩きはできるようになるが、歩き方が不自然で、つっぱったり(痙性)、ふらついて転けることが多い。

  • 1〜2歳をピークに徐々に運動能力は落ちていく。具体的には、末梢神経障害と、中枢神経障害による痙性が進行し、その結果上下肢の拘縮(こうしゅく)が出現し、やがて歩行困難となる。

  • 同時期より低身長、経口摂取不良に伴う痩せ(やせ)も顕著となる。

  • そのほか視力や聴力の低下も出現する。また齲歯(うし)、日光過敏症、腎機能障害および高血圧もしばしば問題になる。

  • 自然歴としては、以前の報告では12歳前後で亡くなる方が多かったが、今回の全国調査では亡くなられた方の平均年齢が18歳であった。これは栄養管理を含めた医療技術の向上に伴うと考えられる。死亡原因は腎不全、呼吸不全が多い。


  • 【コケイン症候群 II 型】
  • 先天性コケイン症候群という別名があるとおり、胎生期より成長障害を認めており生下時にはすでに低身長、小頭を呈している。また先天性の白内障をはじめとする眼科疾患や、感音性難聴を認めることもある。

  • 神経学的発達はほとんどみられず、粗大運動の発達はあっても一人歩きができるようにはならない。乳児期早期より側彎や関節拘縮を認めるようになる。

  • 5〜6歳で経口摂取不良、消化不良、および痩せ(やせ)が一層悪化し、6〜7歳頃に肺炎や腎不全、心不全で死亡することが多い。

  • 【コケイン症候群 III 型】
  • コケイン症候群の中で最も頻度が少ないとされる。

  • 症例数が少なく、体系的なことはわかっていないが、T型に比べ発症時期が非常に遅く進行が緩徐である。実際には診断がついていない例もあると考えられる。

  • コケイン症候群の病態解明のための全国調査を行ったところ自験例2例のほかに1例の患者が生存していることがわかった。3例の平均年齢は36歳であり、平均体重32kgと、痩せ(やせ)が他型に比べると軽度にとどまっている。

  • 3例に共通することとして発症は10歳前後、歩行困難を認めたのが20歳代後半であり、日光過敏症ははっきりしない。知的障害に関して、自験例では成人になるころまで知的な問題は指摘されず、もう一例は幼児期から知的障害があったものの20歳代まで一人で外出もできていたがその後ゆっくりと知的機能の低下を認めている。また特徴的顔貌や齲歯(うし)、中枢神経、末梢神経障害、腎機能障害および高血圧、視覚、聴覚の問題といったコケイン症候群に認める症状は徐々に出現しゆっくり進行する。


  • 【色素性乾皮症−コケイン症候群】
  • 色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう)とコケイン症候群は、いずれもDNA修復障害に関連しているが、これらの疾患の責任遺伝子のいくつは共通している。それらの中に二つの特徴を併せ持つ一群があることが知られている。


国立成育医療研究センター 神経内科 太田さやか

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