腎機能低下

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 コケイン症候群における腎機能低下(腎障害)は診断基準には含まれていないものの、生命予後を左右する重要な症状と考えられます。本研究班で平成21年に実施した全国調査では、腎障害の頻度は生存例16例中1例(6.3%)と多くはありませんが、死亡例15例中8例(53.3%)と高い割合でした。腎障害の診断には血液検査が有用で、普通は腎臓によって取り除かれる代謝性老廃物である尿素とクレアチニン濃度の上昇でわかります。痩せの目立つ時(筋量の少ない場合)、血清クレアチニンは低めに出て腎機能低下を正しく反映しないこともあるので最近はシスタチンCも腎機能の指標として測定されています。腎機能低下の場合、血液は通常やや酸性に傾きます。血液中のカリウム濃度は正常、またはわずかに高い程度ですが、腎不全の段階がかなり進んだり、大量のカリウムを摂取したりすると、危険なレベルまで上昇することがあります。また、赤血球数に多少の減少がみられることもあります(貧血)。カルシウムの濃度は低下し、リン酸塩が上昇します。また、弱った腎臓は血圧を上げるホルモンを産生するため、腎不全の人には高血圧がよくみられます。さらに、腎機能低下により余分の塩や水分を排出できず心不全の原因になります。コケイン症候群の腎障害は病理学的には、大きく3つに分類されます。すなわち、糸球体病変(糸球体硬化症、糸球体基底膜の肥厚など)、尿細管病変(急性尿細管壊死)、間質性病変(線維化、間質性腎炎)です。ネフローゼ症候群を合併することもあります。治療は現在までのところ保存的治療が中心です。本研究班では、今後も腎障害の病態解析を進めていく予定です。


都立府中療育センター小児科 田沼直之
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