運動障害

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 コケイン症候群の患者さんには様々な運動障害が見られます。
 筋の緊張の調整がうまくできずに手足がつっぱったり(痙性)、体のバランスがとれずにふらつく(失調)ため、歩くのが難しくなります。脊柱の変形のために体が前かがみになることや、股・膝・足首の関節が固くなって変形してしまうこと(拘縮)も、歩行を悪化させます。手の運動の細かい調整にも障害を認めます。また体が勝手に動いてしまう"不随意運動"が見られることがあり、特に手の細かいふるえ(振戦)が多いです。
 残念ながら今の時点ではこれらの症状に対する根本的治療はありませんが、症状を緩和させるためにケアや治療が行われています。
 まず、歩行能力を維持し、関節の拘縮を予防するために、理学療法(リハビリテーション)がおこなわれます。関節の変形に対しては、特殊な靴や補助器具(装具)を作ります。家庭や学校では、患者さんが転びにくいよう、また転んでもけがをしないよう、段差や障害物を減らすなどの環境調整が必要です。
 痙性や不随意運動に対しては薬による治療がおこなわれます。私達は、振戦に対してTRH誘導体という薬がある程度有効であった患者さんを経験しています。また筋の緊張亢進や振戦に対してレボドパという薬が有効であったとの報告も出ています。
 脳の運動調整に関係する部分を電気刺激することで、重症の不随意運動の改善を図る治療(脳深部刺激療法)があります。最近、コケイン症候群の患者さんに対してもこの治療を行った、との報告が出ていますが、効果の検証はこれからの課題です。


都立神経病院 神経小児科 熊田聡子
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